フットサルが繋いでくれた自分のコミュニティ

南雲さんとは？

―南雲 颯太（なぐも そうた）さん
フットサル　立川アスレティックFC所属
幼少期からボールに触れ続け、小学4年生から6年生の間はサッカーとフットサルを両立。大学4年次に立川・府中アスレティックFCにスカウトされる。卒業後は同チームにて、仕事と競技を両立するデュアルキャリアの道を歩む。

スポーツ経験と今 

｜南雲さんのこれまでのスポーツ経験を教えてください。
ボールに初めて触れたのは幼稚園生の頃でした。友達に誘われてスクールに入ったのがきっかけです。父がラグビー選手だったので、よく練習について行ってラグビーボールに触れてはいたのですが、ラグビー自体には見向きもしなかったのに、ボールを蹴り続けることがとにかく楽しかったんだと思います。小学校に入ってから、一時期はサッカーとフットサルを両立している時期もありましたが、中学生になってからはフットサル一本に集中して競技に取り組んでいました。有難いことに両親のサポートもあって、幼少期からスクールに通わせてもらえるなど、好きなこと（フットサル）ができる環境は整っていましたね。

｜現在の仕事はどのようなことをしていますか？
転職をして、今年の4月に小泉機器ホールディングス株式会社に入社しました。住宅設備機器の商社で仕事内容は、データ確認や請求書発行などの事務的な部分を担当しています。フットサルチームのスポンサー企業に就職させていただいたこともあり、会社としてこの働き方（デュアルキャリア）を取り入れてくださっており、社員にも応援してくださる方が多く、仕事も競技も両方全力で頑張れる環境があるのは本当に有難いです。未経験且つ時短勤務なので、どう効率良く職務を全うするか試行錯誤している最中ですが、いち早く仕事でも成果を上げられるように頑張りたいと思っています。

突然のスランプ。自分の成長と向き合った過去

｜フットサルの魅力を教えてください！
スピード感でしょうか。試合展開が早いので見ていて飽きないドキドキハラハラ感が堪らないです。また、コート面積もサッカーと比べると狭く、コートに立てる人数も少ないので、出場している全員に得点のチャンスがあるところもポイントですね。

｜そんな南雲さんにとって”フットサル”とは！
人生を楽しくしてくれる存在ですね。ボールを全力で追いかけて蹴り続ける日々が幼少期の頃から変わらず本当に楽しいです。自分が心の底から好きで競技を続けられているんだなとひしひしと感じます。ただ、ここまでずっとその“楽しさ”が続いてきたかと言われるとそうではないんですよね（笑）。

｜というと何か壁にぶつかったタイミングがあったのですか？
実は、チームに所属して2年目くらいまでは、思うように試合に出れない状況が続いていたんです。練習でも試合でもあまりいいプレーができずいわゆるスランプ状態で。他のチームに移籍するか、フットサル自体をやめてしまおうか、というレベルまで自分の中で考えていました。

｜今のご活躍ぶりからは考えらませんね…！スランプはどう乗り越えましたか？
このスランプを乗り越えたら、プレイヤーとして更に成長できそうだと思い、乗り越えるために、今のチームで結果を必ず残すことに決めたんです。他のチームで結果を残すことも選択肢としてはありましたが、今の自分の所属よりもカテゴリーを下げたところでは、自分の成長への影響力が少ないと思いましたし、上位常連の今のチームで結果を出すことが、自分にとって更に成長を促せる要素だと考えました。結果を出すなら常に上を目指していたいですし、レベルの高い選手が沢山いる中で結果を出したかったんです。

｜とてもストイックですね‥・！スランプを乗り越えて、心境や環境的に変化はありましたか？
最近はチームメイトとフットサルや仕事についての話をする機会が増えたと思います。今は競技を継続しようかどうかというより、仕事と競技を両立するための相談が多いです。自分としても所属歴が中堅層に差し掛かってきたので、だからこそ視野を広く、チームメイトには積極的な声掛けを意識するようにしています。

自分の居場所―立川アスレティックFC

｜立川アスレティックFC加入したきっかけを教えてください。
大学4年生の時に自分のプレーを見ていただいて、お声がけいただきました。あの時プレーを評価していただいて、今自分はここにいられているので、プレーでチームを引っ張っていきたいという想いは常に持ち続けています。チーム全体のプレーを盛り上げていくという部分も含め、今の自分は立ち位置的に、戦術や個人の技術力向上に向けたアドバイスをできるような役割を担っています。ミスもミスで終わらせず、次に活かせるようなアプローチを日々図ろうと奮闘中です。

｜立川アスレティックFCの特色を教えてください！
上が45歳、下が21歳の計18人で構成されたチームです。日本代表を経験された選手もいてベテラン勢が良い味を出しつつ、若手選手も自身の持ち味を活かしながらチームに貢献している、とてもバランスのいいチームです。昨年、活躍した何名かの選手が移籍してしまったので、今シーズンは正直不安な部分もありましたが、例年通り上位争いはできているので、チームのために動ける選手が多いからこそ、そのまとまりが結果となって出ているのかなと思います。

｜チームとして今後目指していきたい目標は何かありますか？
府中から立川に拠点を移して約3年経ちますが、チームを応援してくれるファンも増えつつあります。なので、今後もっとチームを盛り上げていくためにも、観客の皆さんが見ていてワクワクするようなチームにしていきたいです。

将来と向き合って決断した“転職”

｜今年の4月にご転職された、きっかけを教えてください
前職は現職とは真逆で、民間の学童保育の会社で放課後の子どもたちと触れ合ったり、体を使う仕事をしていました。当時は20時くらいまで働いていたので、勤務時間の長さや残業から競技のパフォーマンスにも影響を及ぼしている部分も出てきて。仕事も競技も本当にこのままでいいのかなと将来のことを考えるタイミングがあったんです。そのタイミングでご縁があって入社する運びになりました。

｜ご縁とタイミングですね。今の仕事のモチベーションを教えてください！
そうですね、やっぱり会社の皆さんが仕事も競技も両方頑張れるように、応援もサポートもしてくれるのは本当に有難いことですし、自分のパフォーマンスの原動力になっている部分はあります。今はまだ転職して約半年なので、毎日小さな目標を立てて業務を遂行することを心がけています。あとはシンプルに、練習着からスーツへの服装の切り変わりも、自分の中ではスイッチのオン・オフになっているかもしれません（笑）。

仕事も競技も全力！デュアルキャリアとして奮闘する毎日

｜仕事とフットサルの練習がある日の1日のスケジュールを教えてください！
週末は基本的に試合が入るので、平日はほぼ毎日、午前中の9時半から12時くらいまでコートで練習しています。仕事はアスリート社員として採用されているので、13時出社で17時半までの時短勤務制度を利用した働き方です。自分以外にも、女子選手がデュアルキャリアとして活躍しています。同じフィールドで頑張る仲間としてとても心強いです。

｜自分以外にもアスリート社員が在籍していることはとても心強いですね！南雲さんがデュアルキャリアを歩んでいく上で大事にしていることを教えてください。
仕事もフットサルも全力でやり切るようにしています。
自分としてはとても環境に恵まれていると思っているので、そこに甘んずることはなく、仕事は仕事、競技は競技できちんと線引きをするように心がけています。
これは前職から意識していたことでもあり、当たり前のことではあるんですけど。どちらかのちょっとした不調で、もう一方にマイナスな影響を与えてしまうことが起きてしまわないように、そこの区切りは今後もしっかりつけていきたいですね。

｜南雲さん自身、デュアルキャリアをしていて良かった点はありますか？
正直、コンディション作りや練習後の業務など、未だにしんどいと思うことはあります（笑）。仕事の後もジムに行って身体を鍛えてから帰宅するので、休息のための時間はほぼないです。スキマ時間が休息といった感じです（笑）。それでも、自分がデュアルキャリアとしての働き方を終えるときに、「やってよかった！」と思えるような価値を作るために、今は日々頑張れています。

｜仕事と競技の両立をしようか悩んでいる方にアドバイスをください！
そうですね、仕事だけ、あるいは競技だけでいいのかなとか、将来を見据えた時に少しでも悩んでいる人や両立してキャリアを築くことに興味を持っている人は、一度やってみたほうがいいと思います。自分で仕事の時間を見つけてコントロールできるような人なら、この働き方は向いていると思います。ぜひ一度経験して、自分に合うかどうか判断してみてほしいです！

フットサルという競技経験の積み重ねが生み出したチカラ

｜今までご経験されたスポーツと仕事で共通して活きているチカラはありますか？
「問題解決能力」、「想像力」、「準備力」ですかね。幼少期から続けてきたフットサルを通して培えたチカラだと思います。

｜そのチカラに関して詳しく教えてください。
フットサルは常に状況が変わるスポーツなので、今どんな状況かをいち早くキャッチし、そのキャッチした情報をどう解決したらいいかを瞬時に判断する必要があります。何が起こるか分からない試合中、どんな状況においても、柔軟性を持った判断ができるように、意識するようになります。幼少期から触れてきた世界だからこそ、経験の積み重ねで培ったチカラだと思っています。

｜長年のフットサル経験を通じて得たチカラですね。ちなみにそのチカラは、仕事でも活かせていますか？
特に前職では活かせていました。予測不能なことが頻繁に起きる子供たちを相手に仕事をしていたので、そこに対する準備というか心構えというか（笑）。何かが起きてしまった時には、なぜ起きてしまったのか、繰り返さないようにどう対策していけるか、などを考える際に、これらのチカラは応用できていたと思います。
現職では事務的な対応をすることが多いので、どう効率性を高めていけるか次の展開を想像しつつ作業するように心がけています。

フットサル界を引っ張っていく世代として掲げる未来像

｜今後のフットサル界をどう展開していきたいですか？
やっぱりフットサルという競技を見てほしいという気持ちは大きいです。
例えば五輪競技に指定され、スポットライトが今よりも当たるような立ち位置を確立できるようになっていけたら嬉しいですね。多くの人の目に留まるような、フットサルという競技自体を印象付けられるように、フットサル競技全体を盛り上げていきたいと思っています。

｜とても素敵な展望ですね。実現にむけた今の課題はありますか？ 
そうですね、きっかけ作りは注力していくべきかな、と思います。Fリーグで活躍している選手の中でも、自主的にスクールやクリニックを展開している人は多いですが、そういった選手とファンの距離の近さを売りにして、どんどん輪を広げていきたいですね。

｜個人やチームとしての目標を教えてください。
個人としては、日本を代表する選手になりたいと思っています。この前、有難いことに代表メンバーにも選出され、約2週間の合宿をしてきたんです。初参加だったので、上手くいかないこともありましたが、個人としては、もうひと段階レベルを上げるきっかけを得られたと感じています。良い経験をさせていただいたと思っているので、この環境下で得たことをチームに持ち帰って、クオリティを高く保てるように日々極めていきたいです。

スポーツによってもたらされた人とのつながり

｜南雲さんにとってスポーツの価値とは？
『人とのつながりをもたらすもの』だと思っています。チームメイトはもちろん、サポートしてくれる方やファンの皆さんがいるから自分たちはプレーができるわけなので、スポーツを通してできた輪は他に代替できないです。今の自分を形成している横のつながりには、感謝しかありません。

最後に読者にメッセージ

デュアルキャリアとしてやっていくのは正直しんどさもあります。ですが、両方全力で向き合いたい人や本気で将来のことを考えていて、今の自分を何か変えたいと思っている人がいるのであれば、同じ方向を向く者同士、是非一緒に頑張っていきましょう！また、フットサルの試合を見たことのない方は、ぜひ一度僕が所属している、立川アスレティックFCの試合を見に来ていただけると嬉しいです。

編集後記

幼少期からボールを蹴り続けることに楽しさを感じ、現在までフットサルと共に人生を歩んできた南雲さん。競技面での課題、自分の将来など様々な場面で自分自身と真摯に向き合い、道を選択してきた南雲さんからは、デュアルキャリアとしてこれからのキャリアを描いていく強さを感じました。

これからも応援しています。インタビューにご協力いただき、有難うございました。