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好奇心と突き詰める力の先に見える「スポーツアナリスト」(前編)

試合での勝利やチーム強化に欠かせない存在である『スポーツアナリスト』。
そんなスポーツアナリストとして活躍する傍ら、一般企業に勤め、デュアルキャリアを行う株式会社SPLYZA (スプライザ)の日比敦史さんにインタビューしました。
前後編にわたるインタビューの【前編】では、スポーツアナリストの経験について様々な角度から語っていただきました。日比さんが「分析のプロ」として最も大切だと考える力を知ることのできる内容となっています。
「得意」を伸ばしスポーツアナリストに
―『スポーツアナリスト』とはどんな職業ですか?
また、スポーツアナリストとスプライザでの両立はどのように行っていますか?
日比さん:スポーツアナリストとは、チームの掲げる目標を達成するために情報戦略面でサポートする職業です。データの収集や分析から得られた結果を参考に、目標達成に必要な方法や行動をチームへ伝えます。数値はもちろん、映像を扱うことも多く、試合のスタッツや映像の編集を通して監督・選手へ情報を渡すのが役割です。スポーツアナリストとしては、これまでに4度、ハンドボールの年代別日本代表チームへ帯同し、前職ではプロサッカーチームへの帯同もさせていただきました。
スポーツアナリストの詳細はこちら
https://shingaku.mynavi.jp/future/shigoto/674/
現在はその経験を活かして、高校のハンドボール部の指導を行いながら、株式会社SPLYZAでサービス、『SPLYZA Teams』を利用いただいているお客様のカスタマーサクセスを行っています。
※カスタマーサクセスとは:顧客のサポートに加えて、顧客が抱えている問題や課題を分析して対策を提案・支援する業務
カスタマーサクセスとして担当している競技は、ハンドボールはもちろん、サッカーやバレーなど様々です。
―スポーツアナリストになろうと思ったきっかけはありますか?
日比さん:大学時代の経験が大きいかなと思います。
ハンドボール部に所属し、選手としてプレーしながら映像やスタッツを扱う係を担っていました。自分でも向いているなと思っていた頃、アナリストとしてのお話をいただき、スポーツアナリストとして働くようになりました。
―「得意」を伸ばすために、なにか取り組んだことはありましたか?
日比さん:その競技をもっと知ろうという意識は常にしていました。
例えば、この戦術は、
どういった相手に効くのか、効かないのか?
この選手は何を考えてプレーしているのか?
動き方を変えれば違う展開があるのではないか?
など、映像や選手の中に入り込むような感覚で、分析を行うように意識していました。それぞれの競技の特性やプレーの傾向を深く知ることは重要かなと思います。
「好奇心」がやりがいに繋がり「突き詰める力」へ
ースポーツアナリストのどんなところにやりがいを感じますか?
日比さん:仕事を通してハンドボールを突き詰めていけることにやりがいを感じています。
新しい戦術や高度なプレーを見るとすごくわくわくしますし、「戦術やプレーの意図を知りたい」という好奇心を仕事に繋げていくことができ、最高です。
また、アナリストとして監督や選手が気づいていない一面をいち早く伝える事が出来たときは、「チームに貢献することができたな」と感じるので、それもやりがいに繋がっています。
ー日比さんから見て、どんな人がスポーツアナリストに向いていると思いますか?
日比さん:オタクっぽい人が向いているかもしれません。
「オタク」というと少し語弊があるかもしれませんが、「突き詰める力がある人」のことです。
競技の知識が増えていくと、試合をいくつかの要素に分けられるようになります。
例えば、自チームの試合を分析する際、「ボール保持 or ボール非保持」という観点で、試合を「アタック or ディフェンス」の2局面に分けることができますが、それぞれに「組織的ディフェンス or 非組織的ディフェンス」という観点を加えると、局面は「アタック or ファストブレイク or ディフェンス or リトリート」の4つに分けることが可能です。それぞれの局面で「シュート」が起こった場合は「いつ・どこで・誰が・どのようにシュートしたのか」について考えることもできるので、これらも要素になり得ます。こういった要素を増やし、組み合わせていくことが「分析」です。
オタクという言葉を選びましたが、その競技をもっと知りたいという好奇心を持ち、試合を様々な要素へ分解し、どのように掛け合わせて工夫すればチームに貢献できるかを考えて突き詰め続けられる人が、スポーツアナリストに向いていると思いますね。
ー印象深かった仕事はありますか?
日比さん:プロサッカーのチームに帯同した仕事が印象に残っています。
その仕事では今までやっていたスポーツアナリストとしての関わり方とはまた違う形でしたし、ふたを開けると当初聞いていた仕事内容ではなかったんです。
ただ、「聞いた話ではなかった」と言って終わればそれまでですが、 そんな中でも自分がチームの目標達成のために何ができるのかをよく考えて動くようにしましたね。 今まで行ってきたスポーツアナリストの仕事とは全然違っていても、チームのために何かできるかを考えて動いたことは自分にとっても勉強になりましたね。
ー環境の違いからも、なにか得られることがあったのでしょうか?
日比さん:これは競技の違いというより、環境の違いによるものですが、「プロとしてスポーツに関わるとはどういうことか」ということを1番学ばせていただきました。
日本のハンドボールは、トップリーグでも日中は別の仕事をしている選手やスタッフがほとんどであるため、四六時中競技のことを突き詰められる環境はとても新鮮でした。
チームにはもう1名スポーツアナリストの方がいらっしゃったのですが、プロとしての働き方や振る舞い方を間近で見て、『スポーツアナリスト』としてお金をもらって仕事をすることの素晴らしさや難しさを肌で感じることができました。
ハンドボールの世界だけでは得られない経験をさせていただいたので、とても印象的な仕事でした。
色々な人と対話ができるようなアナリストになりたい
ースポーツアナリストという仕事では、分析力はもちろん、監督や選手に「伝える力」も大切になると感じました。
そういったところも意識しているのでしょうか?
日比さん:そうですね。2016年に初めて年代別日本代表のチームに帯同した時は、他のスタッフとのコミュニケーションが不足しており、あまりチームの力になれなかったと感じました。今思えば、スタッフの方々の役割を理解し、自分がどのような役割を担うことがチームにとってベストなのか、というすり合わせをもっと行うべきでした。
スポーツアナリストは情報を集めて分析するだけでなく、スタッフや選手に対して、その情報をどのように共有するか、気を遣う必要があるのだと学びました。スポーツアナリストは、スタッフと選手の架け橋になれるよう、コミュニケーション能力を磨くことも大切です。
ーどんなスポーツアナリストになりたいですか?
日比さん:ハンドボールを深く理解し、多くの選手、指導者はもちろん、ファンやサポーターなど、様々な人とハンドボールを通して対話ができるような人物になりたいです。
技術や戦術が日々アップデートされていく中で、それを常に理解し、自分の中で考えたことをただ言うだけではなく相手に届くように伝えられるようになりたいと思っています。
アマチュア・プロ関係なく、競技に詳しくない方々であっても、様々な情報をうまく伝え、ハンドボールの楽しさを届けられるようになることが目標です。それができれば、自分のなりたい姿に近づけるのではないかと思っています。
まとめ
前編では、スポーツアナリストについて様々な角度から語っていただきました。
スポーツアナリストにとって『分析力』はもちろん、『分かりやすく伝える力』や『突き詰める力』が大切だと分かりました。また、それ以上に何かを『好きであること』が一番の原動力になっているというお話が印象的でした。
後編では、「ハンドボールを離れたからこそ、理想のキャリアに近づけた」について語っていただきます。
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