すごいぞ、アスリート

劣等感から生まれたフットサルプレイヤー・ 山野 瞭

スポーツ経験×自己形成

スポーツ経験は、スポーツだけに還元されるものではなく、社会で生き抜くチカラに変換されていきます。
過去にスポーツをしていた、または現在もあるスポーツで活躍している人は、どのようにキャリアを選択して今、輝いているのか。
アスリート自身の経験談から「次の一歩」のヒントを得ていきます。

現在は、全国各地の学校やチームに訪問営業をしながらフットサルのプロリーグで活躍する株式会社SPLYZAの山野瞭選手。その背景には様々な壁を自ら乗り越え前向きに変えてきた過程がありました。
仕事をフットサルに、フットサルを仕事に活かし、相乗効果を生み出している山野選手にインタビューしました!


フットサルに本気になったきっかけは『劣等感』だった


ーデュアルキャリアを始めたきっかけを教えて下さい。

山野さん:フットサルのプロリーグ「Fリーグ」では、ほとんどの選手が仕事と競技を掛け持ちしています。フットサル1本で競技をしている人はだいたい全体の10%くらいの感覚です。まだまだマイナーなスポーツですね。
続けたいけどお金も必要となった時に、やりたいことでお金を稼げないのであれば、他の部分で補えばいいと考えたのでデュアルキャリアを選択しました。


ーフットサルを始めたきっかけを教えて下さい。

山野さん:6歳から大学卒業まではサッカーをメインに活動していて、遊びでフットサルもしていました。大学在学中にしていたサッカースクールのアルバイト先で、社会人フットサルチームを作ることになり、そこのチームに参加していました。そのチームで1年くらいやっていた頃に、大阪府の社会人選抜チームに選んでもらい、そこから真剣にフットサルに取り組むようになりました。当時は就活もしていて内定ももらっていましたが、「フットサルを真剣にやりたい!」という想いから内定を全て辞退し、近くのチームのセレクションへ参加しました。そのセレクションには落ちてしまったのですがそれでも諦めきれず、1年間フリーターをしながら社会人チームでフットサルをしていましたね。


ー『フットサルを真剣にやりたい!』と思ったのはなぜですか?

山野さん:当時プロになりたいと思った理由は"劣等感"なんです。サッカーをしていた時に、周りの友達はプロになったのに自分はなれず、色々な人に期待されていただけあってその事実を「認めたくない自分」と「プロになった友達を心から応援したい自分」がいてずっと歯がゆい気持ちでした。
その気持ちからサッカーが嫌いになってしまったのですが、そんな時にフットサルに出会い「プロを目指せるかもしれない」「舞台は違くとも自分も活躍して見返したい!」と思い、熱く・夢中になっていきました。
当時は劣等感だけで始めましたが、今はそれだけではないです。もちろん自分よりうまい人もたくさんいますが、真剣にやっているからこそ「負けたくない」という気持ちが大きくなり、今は劣等感だけでなく単純に楽しいからやっていますね。

デュアルキャリアも仕事も、『好きだから』選んだ

―現在の働き方、山野さんの“デュアルキャリア”を教えてください。
 
山野さん:朝9時~11時半まで練習した後に12時半~20時くらいまで8時間勤務をしています。営業職として、現在は学校訪問とWEB商談が半々という感じですね。全国の高校生年代を中心に、SPLYZA Teams』という分析ツールを学校や監督へご紹介・展開しています。


―出張を伴う営業職とフットサルの両立は大変ではないですか?

山野さん:大変か、と聞かれると大変ですね笑 ただ、仕事も好きなんです。スプライザの仕事も好きで選んでいるので、1日中好きな事しかしていないです。試合の次の日が仕事でも「仕事嫌だな~」と思うことは無く、早く仕事をしたくて試合後には翌日の仕事のスケジュールを自然と考えています。


ーそういった"好きな気持ち"もモチベーションに繋がっているのでしょうか?

山野さん:そうですね。スプライザのサービスも、営業という職種も好きですね。スプライザには、サービスのコンセプトに共感したから入社して働いているので、まずそこがモチベーションの1つです。
営業職については、前提としておしゃべりが好きなんですよね!笑 そして、自分が成長することに喜びを感じることが多いです。
営業職と選手ってすごく似ていますし、どちらも同じように考えています。例えば選手でいうと"試合→映像などで振り返る→改善策を練る→練習で試す"というサイクルになることが、仕事では"提案→売れなかった→理由を探る→資料や話し方を改善する"というサイクルに当てはまります。そういった振り返りや試行錯誤のサイクルを回しながら成長していくことが楽しくて、フットサルでも仕事でも意識してやっています。仕事と競技はすごくリンクしていて、仕事を頑張れば競技にも必ず活きてくるので、やりがいに感じます。


ーデュアルキャリアで相乗効果が生まれ、様々な成長に繋がっているのですね。

山野さん:相乗効果が生まれるような場面はめちゃくちゃありますね!特にフットサルというスポーツは、普段の行動や性格が顕著に現れるスポーツだと感じています。普段から細かい気配り・心配りができない人はいいプレーができないんです。逆にそこを意識すればするほど、選手としての部分に活きてくるので良い循環を意識して取り組んでいますね。

仕事から得た『自分』の在り方


ーデュアルキャリアをするうえで大切にしていることを教えて下さい。

山野さん:どちらも数字”はかなり意識しています。営業職だともちろん数字は意識するものだと思いますが、選手としても1試合で何本シュートを打ったのか、何分試合に出たのかなどの数字は意識しています。
あとは、“振り返り”です。試合も練習も映像を撮影してもらっているので、プレー後は毎回観るようにして、必ず振り返りをしています。
振り返りは、仕事でも必ず絶対しますね!なぜクロージングできなかったのかなど、直接お客さんに聞くこともあります。


ー仕事も競技も、とにかく自分自身と向き合っている印象を受けました。

山野さん:1度サッカーを諦めて辞め、劣等感を抱えながらフットサルを始めているからかもしれません。周りは期待してくれていたのに自分で辞める決断をしていますし、当時は自分で自分を裏切ってしまったという気持ちも抱えていました。今はもう、自分を裏切らないようにしたいですし、自分の出来る努力をするのは当たり前のことなので、とことん向き合って数字で分かる結果、仕事との相乗効果など意識するようにしています。


ー自身との向き合い方とは別に、チーム活動で意識していることはありますか?

山野さん:“まずは人の考えや意見を聞く”ことを意識しています。これも営業職をしていてよかったと思うことのひとつで、営業職って「たくさんしゃべれる人がやる仕事」みたいなイメージがありますけど、実は意見をしっかり聞いたうえで適切な提案ができる人のほうが、営業職としては適任です。フットサルチームでも、本当は自分の意見を言いたくても、まずはチームメンバーの考えや意見を優先しています。まずは相手の考えやどう思っているかなどを聞かないと、建設的なコミュニケーションが取れないなと考えているからです。


仕事での経験が競技に活きている場面は他にもありますか?

山野さん:フットサルはチームスポーツで、プロリーグがあります。プレーをしているとやはりチームの中で序列ができ、試合に出られる・出られないが起きてきます。自分が試合に出られない時の立ち回り方はすごく重要だと思っていて、それは仕事でうまく成績を出せていない時の立ち回り方と同じだと思うんです。
そういう立ち回りは仕事から学びましたね。数字が出ていなくても今の自分にできる事を全力でやるというマインドを仕事で学び、選手としても試合に出られなくても悪い態度をとるのではなく、今できる事を全力でやるということを意識的にできるようになりました。

また、社長のマインドはすごく独特で学びになる部分が多いです。
社長からは、「適切な努力をしなさい」と言われたことがあります。仕事でも競技でも「なんであの人の評価が良いの?」「なんであの人が試合に出ているの?」という場面は必ずあると思います。その理由は『自分が思っていること』と『評価する人、監督などが思っていること』には相違が起きていることが多いと。「相違のポイントをしっかりと見抜き、適切な努力をしなさい」と教えていただき、すごく学びになりました。
社長はスポーツ経験が無い方です。仕事をしていないと出会えなかった人や知れなかった考え方を知り、仕事と競技の双方に活かせていることは、デュアルキャリアをしていているからこその特権だと思います。


ー山野さん自身、結果が出ない時期はありましたか?

山野さん:ありました。選手個人として結果が出せない時期は結構長かったです。逆に言うとそれまでが良すぎたのかもしれませんが、そのギャップがありすぎて昨年1年間くらいはすごく苦しみました。
そうなったとき、やっぱり「なんであの選手がでているのか」「自分はこんなに努力しているのに」と良くない感情が生まれてしまっていました。そこの立ち回りとかマインドリセットの方法などは、仕事で学べたなと感じています。スポーツをやっているだけでは学べなかったし、気づけなかったことだと思います。


結果が出なくても他責にせず、常に自分にベクトルを向け続けられるのはなぜですか?

山野さん:自分にベクトルを向ける考え方が身に着いたのは、この会社に入ってからだと思います。スプライザはフルリモート勤務ということもあって、オフラインで社員同士が会うことが少なく、一人で仕事をしている感覚になりやすいんです。一人で進めている仕事で数字がでないことを誰かのせいにするのは、おかしいことですよね。評価についても、他の社員がどんな仕事をしていて、何に対して評価されているか、自分から「知る」行動をしないと分からない部分もありますし。そうなってくると、やはり自分にベクトルを向け、何があっても自分次第だなとより思うようになりました。

ー山野さんが"スポーツをする理由"を教えて下さい。

山野さん:スポーツをするのは、自己形成のためかなと思います。アスリートとしてのスポーツってずっと出来る事ではないですし、引退後の人生の方が圧倒的に長いと考えたときに、スポーツでの色んな経験があったほうが、人生が豊かになると考えています。自分の場合、スポーツを通じてたくさんの人に出会えているからこそ、その人たちの考え方を吸収できて、自身が成長することができ、人生を豊かにできていると思いますね。

ビジネスでもフットサルでも『オンリーワン」に

山野さんの印象やお仕事への姿勢について、今回も取材に同席いただいた株式会社SPLYZAの豊嶋さんにもお話を伺いました。

ー豊嶋さんは、山野さんにどんな魅力を感じていますか? 

豊嶋さん:山野さんは前向きに考えられる力と人に好かれる力が長けているという印象が私の中で強いです。
前向きに考えられる力については、失敗した時や思うように行かなかった時、負の感情だけに焦点を当てるだけでなく、すぐに次のステップを考えられる思考回路になっているのではないかなと思います。
好かれる力については、山野さんがとても明るいという部分ももちろんありますが、それだけではなく、人の心を掴むような感じです。話を聞くのがすごく上手で、話をしているといつの間にか、私の考えや思っている事を自然と引き出されてしまいます。
営業職においても先生や監督と初対面で会うことの方が多いはずなので、上手く関係性を築ける強さが、成果に活かせているのではないかなと思います。
私も今は広報担当ですが、元々営業として同じチームで働いていたことがあります。私はついつい自分の話ばかりしてしまう方が多くなってしまっていました。一方で山野さんは社内的な目標数字を意識しつつも、自分の話をするのではなく、相手に寄り添い続け、求めているものを見つけて提案したり、商品を通じて課題を一緒に解決していくという気持ちが見えたりすることが、信頼に繋がり、結果お客さんにも好かれるのではないかなと感じます。
また、社内においても、人の変化などにも良く気付き、良い時も悪いときもすぐに声をかけてくださる方です。逆に山野さんが困っているときはついつい助けてあげたくなっちゃう、とみんな思っているのではないかなと思います。



ー今後の目標を教えて下さい。

山野さん:長期的な目標は、正直まだはっきりとはイメージできていませんが、短期的な目標は、仕事でも選手としてもオンリーワンになりたいです。
誰と比較するわけでもなく、仕事でもフットサルでも「山野さんがいてくれないと!」と思われるような人になりたいです。思うような結果がでなくても試合に出てほしい、チームにいてほしいと思ってもらえるような選手に、数字が出ない時期があったとしても、会社にいてほしいと思ってもらえるようなビジネスパーソンになりたいですね。


ーデュアルキャリアに悩む方やフットサル選手などに伝えたいことはありますか?

山野さん:フットサル選手は絶対にデュアルキャリアをしたほうがいいと思っています。これは私も大学卒業後にフリーターをしながらフットサルをしていたという経験があるからこそ、言えることです。
前提としてはもちろん、競技1本で生活する全体の10%に入りたかったです。一切努力しなくても成功できる天才とか、正直うらやましいですよ!笑 でも無理だと気づいて仕事をすることを選びました。その結果、仕事をしていたおかげで、会社という組織のこと、仕事の進め方、何かを進める時のコツや考え方を身をもって知ることができました。社会の仕組みを知ることで、チームでの動きに対する意識も変わると思います。
これはフットサルだけでなく、他の競技にも言える事でもあると思います。ぜひアスリートにはデュアルキャリアをオススメしたいですね。

取材後記

今回はフットサルのプロリーグ選手と株式会社SPLYZAの営業担当として活躍する山野瞭選手にインタビューしました。
仕事、競技、私生活は全て繋がっていて、それぞれに相乗効果が生まれるような考え方を常にしているというお話が印象的でした。また、とても素敵なお人柄で、チームや会社に様々な面から貢献しているということが伝わってきました。
はじめは“劣等感”という負の感情からのスタートであっても、フットサルや仕事に本気で取り組み、的確な努力をすること、自身の行動や思考を柔軟に捉えられる山野さんだからこそ、結果的にはデュアルキャリアで成功しているのだと感じます。
最後に、この度はインタビューをお受けいただきありがとうございました!今後のご活躍も応援しています!

【株式会社SPLYZA概要】
URL:https://www.splyza.com/
株式会社SPLYZAは、アプリケーション開発を通してスポーツ×教育を支援します。
スポーツの上達に加え、スポーツを通じて正解のない問題を考える力が身に付くようなサービスを生み出し、社会に出てから必要とされる「主体性」や「考える力」をスポーツ・部活動を通じて育むことができると感じてもらえるように、スポーツの教育的価値のさらなる向上を目指してまいります。

各種SNSアカウント
HP : https://www.splyza.com/
X(旧Twitter):https://twitter.com/SplyzaInc
Instagram :https://www.instagram.com/splyza/ 
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【山野瞭さんアカウント】
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