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最速で昇格した市役所を退職し選んだ、オペレーションディレクター。今だから思うこととは
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今回は市役所勤務とバレーボール選手、監督の三刀流を務めた言上さん。
現在は市役所を離れバレーボールを支える仕事をする傍ら、これから始めていく新たなビジョン等も存分に語っていただいています。
▼今回インタビューさせて頂いた方はこちら!
言上 真一
・中学1年生から30年間バレーボールプレーヤーとして活躍
・2005年より舞鶴市役所にて勤務
・福祉部門・企画政策課・農林課・総務省出向、広報広聴係長を経て秘書課長にて従事
・現在は兵庫DelfinoのOperations Director/Coachを務める
バレーボールとの出会いから―
―長年携わっている「バレーボール」始めるきっかけは?
実は陸上部に入ろうと中学生の時は思っていたんですね。
仮入部のときに陸上部を見に行く予定だったのですが、たまたま雨が降っていて中止になり、「教官が怖い強い部活がある!」と小学校まで噂になっていたバレーボール部に怖いもの見たさで足を運んでしまったんです(笑)
そしたらすごく面白いスポーツだということに気づき、監督に「バレーボールは楽しいか!」と満面の笑みで問いかけられ、心をつかまれてしまいました(笑)。そこからものすごくハードな練習が待ち受けているとは思っていませんでしたが、いい選択をしたなと思います。
―バレーボールに出会って得たものはなんでしょうか?
人とのつながりですね。働き出してから助けてくれる人もバレーボールの関係者が多く、「バレーボール」というキーワードひとつで関係が広がりやすいなと思っています。競技の話は世界共通で、海外の人とも昔の選手の話で盛り上がった経験もありますね!
言語が分からなくても同じコートでプレーすれば、なんとなく伝えたいことが分かってくれますし、お互いの文化を知ることもできます。
―30年以上続けているバレーボール、長く続けてらっしゃいますね・・!
飽きがこないんです!完全に同じプレーはないですし、試合中も戦術が変わっていくので、常に駆け引きが楽しめます。
相手の考えやプレー、チームの戦術、そして確率論など、バレーボールのゲームは多くの構成要素で成り立っていて、毎回毎回面白いんです。
高度なオフェンスプログラミング技術と、ディフェンスプログラミング技術を戦わせているうちの一コマ、としてみているような形で考え、どうやったらプラスのコマンドを付けられるか、みたいな感じで全体を見据えてプレーしたり、指示したりしていますね!
30年以上続けているからこそ見えたバレーボールの魅力とは
―言上さんの考える、バレーボールの魅力ってなんでしょうか?
「瞬間を楽しめる」部分ですね。必ず1点を取る度に“途切れる”スポーツであるからこそ、瞬間・瞬間を楽しめるんです。攻守交代も3回で必ず行われるのでわかりやすく、面白いところだと思っています。
―オペレーションディレクターの視点から見るバレーボールの魅力や課題は?
トータルのプログラミングが面白さであり、勝てるかどうかのハンドリングが大切になります。自分なりの仮説を立てて、監督と相談して今の選手たちを把握し特徴を捉え、いかに最大化する組み合わせを作るか、ということがということが面白さであり課題です。
選手に会えるのは月1回なので、動画共有やスプレッドシートに記入・提出してもらい、丁寧に確認しています。
―珍しい方法ですよね!
そうですね、特殊であり、このチームの特徴だと思います。
選手も居住地がバラバラなので、強化合宿でしか会えません。今はバレーボールの強さよりも、チームの価値、個人の価値を高めていく事に目線を向けていて、戦略を立てて行っています。
―兵庫デルフィーノにはどんな方が多いのですか?
みんな特徴的で勉強熱心な選手が多いですね!だからこそ、その特徴を捉え誰に考えた戦略がハマるかを考え、摺合せしていく事が楽しいですよ!いろんな側面があって魅力的なチームです。
競技と同様、長く続けた市役所の公務員から今―
―市役所で働かれていた時どんなことをされていたんですか?
2005年に舞鶴市役所に入庁しました。
そこから19年間市役所に在籍し、最初の4年間は福祉部門に携わり、生活保護の相談や地域福祉計画の立案に携わり、その後7年間企画政策課に所属しています。そこでは総合計画を作るためのワークショップの運営や海上自衛隊の基地がありますのでその窓口、防衛補助事業の庁内調整なども担当していましたね。自治会単位の将来計画を立てる地域ビジョンの策定や、他にも高等教育機関と連携してどんな事業をしようかなどを検討し、高専生とデジタル上のグルメマップを作ったこともありました。ただ本当に多忙でした(笑)。
それからは農林課へ配属され、地域の農水産物のブランディングや新商品の開発など6次産業化に携わり、また他にも移住政策について担当した後、1年間総務省に配属されました。ちょうど新型コロナウイルスが猛威をふるいはじめた時期で、そこでは特別定額給付金の電話対応などを担当したほか未来技術を全国に普及するための研修事業なども担当させて頂きました。
その後、広報係長としてシティブランディングや広報紙作成、記者会見の対応など広報関連を担当し、最終的には秘書課長に就任し、秘書業を行いました。
―本当にいろんなことを経験されていますね・・!舞鶴市では最速の課長職だったとか。
そうですね、すごく感謝の気持ちでいっぱいです。いろんなことを経験させていただきながらスキルアップができたように思います。その結果、課長職を任せていただいたのだと思います。
―活躍している中で、退職を選んだ理由はどこに?
多くの経験を通じて、様々な方と出会いました。そしてVリーグに関わるようになりその時間を過ごしている中で「スポーツが持っているものの大きさ」に直面しましたね。地域との関わりが強いスポーツだからこそ、自分の地元でも活かすことができないかと考えました。市を見てなにかしていくよりも、地域の部活移行やVリーグの現状も踏まえ、バレーボールを中心に地域の活性化に貢献したいとと思い、退職しましたね。
公務員では“バレーボールだけ”といった、ピンポイントのコンテンツにフォーカスして働くことが少し難しいかなと思っていたことも、きっかけのひとつでした。
―コンテンツにフォーカスしていく事が難しいとは?
自治体は公共性を持っていて市の方針や考えがある中で「バレーボールだけに特化する!」という選択は難しいということです。
今は企業や大学なども社会を巻き込んだ活動が至極当たり前になっていて、企業だったらできるのではないかなどは考えていましたね。
―現在の兵庫Delfinoに所属するきっかけは?
クラブチームが一緒だったメンバーと兵庫Delfinoのオーナーが知り合いだったことをきっかけに、縁があり加入しました。
今まで監督や選手を体験していきましたが、運営側で携わっていたことはなく、そこから盛り上げていくのも面白いと思い、一緒に頑張っていく運びになりました。
―今のお仕事はどのようなことをされていますか?
運営側とコーチをしています。運営側としては強化合宿の内容や運営方針の企画、事業の推進などをしています。
―市役所での知見が活躍できる場所ですね!
思った以上に経験が役立っています。自治体側の知見や意見の理解があるので、そこは共有・活用できています。
地域活動をしていくなかでより一層、やっていてよかったなと思う瞬間が多くありますね!
言上流トリプルキャリアを両立するコツとは―
―両立することの良かった所は?
現役中でも自治体の考え方は頭にあるので、ポスターはどこに持っていく、プレースリリースはどうする等、効率的に動ける部分が多かったように思います。
仕事でいうと、いろんな町、世代の違う人と出会うので違う価値観を知ることができ、交流と考え方のブラッシュアップができるようになりました。
―しんどかった部分もありますか?
そうですね。思い返せば、休みがなかったなとは思います。慣れるまでが大変だった、くらいですね!慣れたら当たり前の生活になっていきますし、楽しくやっていました。
―慣れるまでが大変なこともありますよね。気を付けていたことはありますか?
きっと嫌なことって起きると思うんです。どんなに好きなことでも嫌になる時期もあるので、それが来るのが当たり前と思うようにして、その波ができるだけ仕事と競技で重ならないようには気を付けていました。ただそれは自分だけでコントロールできるものでもないので、どうしようもないときは「禍福は糾える縄の如し」と思って頑張ることにしてました。
―両立していくコツや方法はあるのでしょうか!
《動くことを休みと捉える》ですね!
ストレスはため込んで発散するのではなく、アウトプットする機会を意識的に作り、好きなことを通じて発散しました。それはバレーボールだけではなく、私は料理が好きなので、何か自分で作り上げる作業でアウトプットしていました。なんでも動くことがストレスフリーにつながり、自分に合っているんだろうなと思います。休みすぎると休み疲れてしまうんです。
また場所の移動も多くあったので、《ついでに何か楽しいこと》も意識していました。私は神社巡りが好きで各所の自然や歴史を感じながら参拝することが、仕事モードと切り替えられる手段のようになっていましたね。
30年のスポーツ経験から得たチカラとこれから―
―言上さんにとって、スポーツ経験で培われたチカラとは?
「社会還元(貢献)」と「考えるチカラ」ですね!
社会還元に関しては、公務員は退職しましたが、その想いは今も変わらずどうにか地域を盛り上げたいという気持ちが強くあります。
また、活躍している選手は、言われたことだけをこなしているだけではなく、自分で仮説を立てて「考え続けるチカラ」がたけている人が多いと思います。主体的な行動を促し、考える力がある選手を育てていく事が大事だと思っています。思考は永久的に活動をさせていなければいけないですね。
―そのチカラが自分のものになってきた、と感じるタイミングはありましたか?
仕事で挫折した時ですかね。ゼロからイチを立ち上げていくには勉強することも必要ですし、考えることの武器を増やしていくことが大事だと気付き、それが少しずつできるようになって考えるチカラが活きてきたと思いました。自分が気付けたのが社会人だったのでやはり、遅くともユースの時にはそのチカラを蓄える必要性があるな、と改めて実感しましたね。
―そのチカラを子供たちに得てもらうために何かしていますか?
強化合宿を兼ねたバレー教室では「こうしなさい」という指示はしない、と徹底的にプログラムを統一しています。
Vリーガー選手にも、「子供たちに指示するのではなく、子供に決定させていくことを大切に」と意識させて時間を過ごしました。これからはこういった機会を増やしていく事が、スポーツ経験を得て『考えるチカラ』を育むことができるのではないかなと思っています。
―言上さんが更につけたいチカラは何かありますか?
『アウトプット』と『実行力』ですかね。
今はクラスター戦略というものや神7ポイントシステムを実施しています。
兵庫デルフィーノは各地に選手がいるので、その地域で活躍する選手を応援してくれる人を増やしていきたいと思い、挑戦しているところです。
スポーツチームのモデルケースを作れるように尽力していきたいです!
―考えるチカラは、今後の人生においてどんな風にいきていきますか?
シンプルに、今の社会を生き抜くのになくてはならないものと思っています。生きている以上、働き続けている以上は地域に還元することが大事で、人口が減っている中、それをしなければ地域は衰退していきます。政治や行政任せにすることにも限界があり、一人ひとりが自分の街をどうしたい!と考えていかないと地域は変わりません。地方が衰退するということは、都市部の食糧問題や災害リスクの増加など国全体が弱体化することにつながるので、日本を支えるという視点でも「考えるチカラ」がある人を増やしていくことが大事で、自分自身もできることを最大限に考え、社会貢献をし続けていきたいと思っています。
バレーボール、兵庫Delfinoのこれからを語る
―兵庫Delfinoのこれからはどうなっていきますか?
2023年から生まれ変わり、1人ひとりが起業家集団になろうとして運営しています。“バレーボールと何かをしていること”に価値が生まれるではないかと思っているので、それが実現できる集団になっていきたいと思っています。
―HPにも様々な“出来ること”が記載してありますよね!
そうなんです。私はディレクターだけではなく、プレーヤーとしてできることとして、料理関連をうまく活用しながら商品開発などにも関っていきたいなと思っています。
―一方で、バレーボール業界にはどのように展開してほしいですか?
プロスポーツ、エンターテインメントとしてしっかり認められるようになっていきたいですね。バレーボールをお金が稼げるスポーツにしてプロ化が進んでいってほしいと思います。
―これからの目標は?
世界一のクラブチームを作りたいです!まずはスポーツの面で言うのならスポーツでもっとお金が回っていくようになればいいなと思います。お金を払って観戦する、参加する価値を引き上げていく事も、同時にしていきたいですね。
バレーボール界を支えた言上さんが語る「スポーツの価値とは」
―言上さんにとってのスポーツ価値とは?
「心に働きかけるもの」ですかね。
心を震わせて、結果涙が出て、ある行動のきっかけになったりする、心に直接語り掛けることがスポーツの価値だと感じます。
チームやスポーツにも歴史があって、その歴史があるからこそ今があると思うので、背景やストーリーを知れば知るほど、感銘を生むのではないかと思います。
この記事を読んでいる方にメッセージ
いずれデュアルキャリアが当たり前の未来になっていると思います。一つを極めることはもちろん重要ですが、社会変化が著しい中、2の武器、3の武器がないと生き抜くことが困難になってくると思います。
大事なのは「○○したい」と思う心を曲げずに、ぶれずにいることだと思います。その心を軸にものごとを考え、実行していけば人もついてきますし、いつのまにか人生が広がっていきます。自分の人生のために、デュアルキャリアやパラレルキャリアに挑戦してみてもいいと思います。私の記事が皆さんの何かが動き出すきっかけになってくれれば嬉しいなと思います。
編集後記
取材を通して、バレーボールに約30年間携わり、仕事や立場が変わっていきながらも「地域還元」と「考えるチカラ」が常に軸にある、言上さんの生き方や強さを垣間見ることができました。
多くの事を経験した言上さんだからこそ語っていただける内容が満載で、兵庫デルフィーノとしても、ご自身としても、これからも様々な展開があり、活躍されることと思います。バレーボールを中心にしながらもそれだけに囚われず、日本を支えていきたいという気持ちを体現する言上さんの活動を、私自身も楽しみに応援させていただきたいと思います。
インタビューを受けていただきありがとうございました!
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